癌と戦う1
「 ひとりごと」に書いた「癌と戦う-1〜30」の記事を抜粋しています。
                                      興味のある方はお読みください。

岐路 (癌と戦う−1)

 夫に癌が見つかりました。毎年がん検診を受診しており、検診にて発見されました。
 夫の家系は多くの人が癌で亡くなっていて、夫は神経質に検診を受診してきました。
 来るべき時が来たと言う感じでした。しかし心の中では80才頃が心づもりであった召天の時期が早すぎる等と思って私は
 ショックでした。こんなに寂しいものだったのですね。癌と聴くと死に結びつけて考えてしまいます。今だ余命が知らされている
 わけでも、望みがないわけでもありませんが、涙が出て2−3日の間、事毎に泣きました。なんと弱い私だったでしょう。

 夫に「こんな時、たいして動揺もせず、涙を流して心配もしてくれない妻であったら、寂しいでしょう?」なんて言って笑って
 みたりです。年令と共に対面する死への不安がやって来る時期を迎えました。こうして苦しみを何度か味わって強められ、
 別れや死の恐怖に強くなるのでしょうか。
 死への心配もなく過ごしてきた若かりし頃が終わり、覚悟と共に歩む人生の始まりとなりました。
 強くなる努力と共に頑張る事にしたいと思う今日この頃です。
                                              (2009年・9月・20日)
 追記ーガン検診は東京の国立がんセンターにて受診しましたが、治療は四国ガンセンターでおこなうことにしました。
 丁度シルバーウィークの連休で診察も遅々として進まず、私は焼きもきです。
 私の妹の連れ合いが医者ですので、希望を持たせてくださいますが「早い方が良い」と言います。
 こんな時待たされることが、こんなにしんどいのかと痛感しました。私はプロテスタントのクリスチャンですが、肉欲には影響を
 受けます。この心を神様に任せる訓練が信仰生活なでしょうが祈って待つことが最善と判っていても気持ちがせくのは自然な
 感情のようです。


インターネットの効用 (癌と戦うー2)

 夫に癌が見つかってから、早く目覚めたり、寝付きが悪い日があります。そんな時私はインーネットで癌についての
 ホームページを読む様になりました。便利なものですね。知らなかった情報がつまっています。一気に多くを読みました。
 抗癌治療についてや、代替治療、先進治療など。

 そのためか希望が持てるようになり、担当医に質問する事なども明らかになってきます。
 そして夫と共にどう生きて行きたいかも見えてきました。どう生きたいかで、治療の方法も変ってきます。

 夫と相談しながら、自分の生き方を積極的に選択できる、そんな気がします。今までは多分、担当医の考え道りの治療に
 従っていたでしょう。判らない自分は考えも決まらなかった事でしょう。「便利なものだなー」と今更感じたものでした。知識は
 多いほうが良いと思っている私なので、インターネットは私の質問回答者と化しました。劣悪な情報もある世界ではありますが、
 労を少なくして情報に接する事の出来る近代兵器です。パソコンが使える自分が嬉しくなりました。
 これからの世界はこうありたいと思える世界です。劣悪な情報やネット犯罪に対して、どう防備するか対処法を駆使しながら
 発展させ、それにより必要不可欠のものとなっていくようにも感じたしだいです。
                                    (2009年・9月・26日)


決断のとき (癌と戦うー3)

 夫の癌は珍しいタイプの物の様で、決断が難しいものでした。もっと違った形であれば、「早く判って良かった」といってすぐに
 手術を決断したでしょう。今なら手術が可能ですが、術後が芳しくないと言います。根治を望んだり、少しでも長く生き延びるならば、
 手術しかありませんが、病人のようになったまま少し生き延びて死亡する可能性もあります。

 私達は15年以上も前から尊厳死協会に登録をし、無理な延命はしないと決断してきました。

 その為夫は病人として生きるより、少し短い人生となっても自分らしく生きたいと思い手術を断念したいようです。家族としては
 辛い決断ですが、夫の希望に沿うよう頑張らなくてはなりません。ここ一ヶ月が決断のときのようです。人生には何度か
 辛い時期がありますね。

 今までなんと幸せな日々であったのか、今になって痛感します。何の心配もなく平和に暮らしてきた過去がどんなに素晴らしい
 ものであったかわかります。こんな思いで人生を生きている人々も多く居られるとも考えるようになりました。夫は「寿命は人間の
 力では変えられない、無理をしても同じ事なのだ」と思っているようです。ここ一ケ月が決断のとき。苦しい選択を迫られています。

 これからの生活はきっと、「今日も一日元気だった。感謝です。」と言いながらの生活になるでしょう。
 健康な時、寿命を受け入れる事に理性的であった私も、簡単に寿命を受け入れることが難しいのだと思い知らされています。
                                       (2009年・10月・7日)


火事場の馬鹿力 (癌と戦うー4)

 今回夫に癌が発見されてから、自分の性格の一部を確認する事となりました。難治癌と言われる癌であったために、精神的に
 窮地に追い込まれどん底に叩き落されました。しかしインターネットでの情報収集を即始め、多くの資料を取り寄せ一気に
 読みました。

 今までだと難しくてとても読みきれなかっただろう資料を一気に読んで、どっと疲れ果て、どっと眠り元気を取り戻し、また資料を
 読むという自分がいました。神奈川県や兵庫県まで治療の相談に行きましたし、メールでの相談もしました。

 子供のいない私達夫婦にとって夫の存在の大きさに改めて気が付いたのかも知れません。一人になった生活を想像して強烈な
 寂しさと、もはや戦っている自分に気が付き、驚くべき力が出現していたように思います。火事場の馬鹿力とはこれなのかと
 思います。

 毎年多くの費用をかけてきちんとがん検診をしてきた夫に、「検診が趣味のようになってる」とからかっていた私ですが、
 早く見つかっても、駄目なときは駄目なのだと思い知らされるような結果が待っていたのです。おおあわてで立ち向かった
 ここ半月ですが、少し落ち着き、考えも方針も少しづつ見えてきました。少しでも長く普通の生活が出来る病気との共存を
 目指して頑張ろうと考えるようになりました。

 直す事に集中して体力や命を落とすのではなく、人間らしい生き方を優先して寿命を受け入れることにしたいと、夫と
 話しています。出来ることはやっておこうと思います。

 残されるであろう私が納得して生きられるための最善の努力は惜しまない覚悟です。後悔しない治療を模索して頑張りたい
 そんな気持ちになっています。              (2009年・10月・9日)


治療方針 (癌と戦うー5)

 やっと治療方針が決定しました。長い長い混迷の時。癌センターの先生お二人(外科・内科)も私達にとって、何かもはや見捨てられているかのように
 思えるハッキリしない態度。「どれをやっても好い結果は難しい」と内心思ってるだろうことが、見て取れるのです。難しい所に癌が付いてしまった
 という想いでした。結局私達が「効がん治療と免疫細胞療法」を併用することで、内科の先生にお願いする事になりました。保険治療と一般治療の
 併用です。担当医もこちらの言い分を全面的に取り入れて下さり、「やりましょう」と勢いよく言ってくださいました。一安心です。


 保険医にとって効く人には効くが、余り効果は期待できない という先進治療方法との併用ですがエヴィデンスがないといいながらも、「患者さんの
 気持ちとしては判ります」という
態度です。

 もし、良い結果がハッキリしたものなら「これをやりましょう」と初めに言われたのかもしれませんが、結果が期待できない以上、
 患者自身に治療方法を決定させた方が、お互い楽なのかもしれません。

 現在手術が可能ではありますが、がん検診で見つかった夫は今とても元気で、即病人となっては患者からの感謝は難しいと
 外科医師も判断し「やりましょう」と言いにくい状況だったのでしょう。
 「手術は出来ます。しかし相当の覚悟が必要。」と釘をさされた言葉でしたし、手術の後の予後がとても悪いという説明です。
 粒子線療法も検討して、兵庫県の治療センターまで出かけましたが、「一つの臓器に二つの種類の違った癌がある」とのことで
 「お役に立てません」ときっぱりと言われたものでした。そしてやっと困難な状況は一応決着をし、新たな出発へと歩き出しました。

 一日一日を大切に生きる人生の始まりです。こんな生活が待っているとは想像もせず生きてきた今までが、夢のようです。
 とりあえず、希望を持って頑張ろう。そんな現在であります。

 もしこれを読んで下さる人の中に、癌と闘っておられる人が居られましたなら、「お互いに頑張りましょうね。好い人生に
 しましょうね。」と言いたい気持ちです。夫の癌は膵臓がんでした。
                                            (2009年・10月・15日)
 追記=保険治療(標準治療)と一般治療を同一病院で併用治療は医事法上できません。
     一般治療は他病院で治療しての併用になります。

     エヴィデンス=臨床研究の結果に基ずくデータにより、ある治療法に効果がある事を
              示す科学的証拠、検証結果の事。


期待と失意 (癌と戦うー6)

 私達は夫に癌が見つかってから、色々な情報を集めました。その中に粒子線療法というのを日経新聞により知り、
 四国がんセンターの先生に相談したところ、紹介状を頂く事が出来ました。

 しかしホームページに載っている症例を読んでいると、長期に入院を必要とするようで、夫が嫌だと言い出していました。
 兵庫県の山奥で一人で1ヶ月以上も入院している事は、精神的に耐えられそうにないといいます。通える場所だと
 良かったのですが、残念でした。しかし先生の紹介状もあり、とにかく一度は訪ねていって話を聞く必要があると、出かけて行き、
 前日に到着してゲスト・ハウスに泊りました。次の朝、共同台所で治療の終わった患者さんの家族とお会いして、お話を
 しましたところ、生き生きと嬉しさいっぱいで「今の時代は命をお金で買えるのですよ。痛くも大変でもなく、副作用も殆どな
 元気なまま治療が出来るんです。昨日退院したので一泊して今日宮崎に帰るんですよ」と大変嬉しそうなのです。そして、
 入院している人には、どんな人がいて、気楽に過ごしている。一日1回月曜日から金曜日まで約30分間の間の約3秒が照射の
 時間だという。

 照射は一回でも30回でも治療費は同じで、「父の場合は10回の照射でした。」とおっしゃていました。
 私は希望を持ちました。元気が一気に出てきました。夫に話し、「やってみよう!!」と説得をしました。二人でその気になって
 希望を持っていたところ、「お役に立てません」のお返事でした。その上、半年・・とか、一年以上生き延びるには・・・というような
 言葉を耳にする事になりました。

 こんなとき人間は、相当の失意をうけます。期待しないで聴いた答えなら、こんなに悲しくなかった事でしょう。なまじっかし
 期待したことで、帰りのバスの中でずっと涙を流している私、新幹線や在来線でも時々涙を流し、我が家に着きました。
 期待する事と、失望する事の関係を思い知った訳でした。生きる事の大変さが、今になってじわじわと私を攻めます。
 気を取り直して「出来る事で、前進しよう。」と思えるまでに、少々時間がかかりました。
                                              (2009年・10月・18日)


免疫細胞療法 (癌と戦うー7)

 昨日初めての免疫を戻す点滴を行ないました。夫の側に就いていた私ですが、時々「どんな?」と声を掛けても、『別に何にも』と
 言います。とりたてて変化もなく、普通に終わり帰ってきました。今朝、なんだか元気になってるように感じるのは、気のせいで
 しょうか。

 免疫細胞療法と言う治療方法を知ったのは、夫に癌が見つかってすぐ、インターネットでの記事でした。

 健康な人でも常に体内で癌が発生していると言います、それを免疫細胞によって押さえ込み増殖を抑えているのだそうです。
 がん細胞の増殖力が免疫細胞の制御力より強くなった時、癌が発症すると説明してあり、医師によっては、老化現象であると
 言っていて、日本が癌大国なのは、世界一の長寿国であるからだとも説明してありました。私はそれに興味を持ち二つの
 クリニックから資料を取り寄せました。一気に読みましたが、どちらにするかも迷います。一応経験のある症例の数の多い
 クリニックを選びました。そしてそのクリニックは松山の或る病院が代行治療を引き受けていて遠くにまで通う必要がなかった
 からです。

 そのメカニズムは、患者から取り出した血液の中から免疫細胞を取り出し、専門の培養施設で加工・処理をし免疫細胞を
 大量に数を増やしたり強化した後、元の体内に戻すと言うものです。自分の免疫なので副作用が殆どないのが特徴です。
 私達はアルファ・ベータT細胞療法を選択しました。色々多くあり症状や癌の種類・場所などによって違った治療法があり、
 方法も色々で専門の医師との相談や治療可能な条件などもかかわってきます。健康保険が適用されず、治療費が高額なのが
 難点と、まだ科学的証拠に乏しく、医師によっては信頼性を疑う人もおられると言います。

 しかし、樹状細胞に自分の癌を覚えこませた免疫治療は、5年後の健康保険適用をめざして頑張っていると、本等には書かれて
 いますし、癌保険なども、治療を行なう施設を限定し現在適用しています。
 (最近、東大の大学病院などは、この樹状細胞治療を中止する方向となっているようです。)

 溺れるものは藁をも掴む の気持ちで取り組みました。良いであろうことは、全てやってみるつもりです。もう一方の
 免疫細胞療法は、NK細胞に集中して増殖強化し、自律神経免疫療法との組み合わせによる複合免疫療法というものでしたが、
 岡山まで通う必要があり躊躇しました。免疫細胞療法に副交感神経優位にすると言う、爪の生え際を刺激する治療を併用しての
 方法のようです。

 少しでも長くこのまま元気で居られたらどんなに嬉しいでしょう。窮地に立たされている時ほど、普通の生活のありがたさが
 理解でき、感謝な気持ちが湧いてきます。幸せだと、なんと欲深い人間なのか思い知らされます。一日一日を感謝して
 頑張りたいと思います。                (2009年・10月・21日)

 追記=アルファ・ベ−タT細胞療法とは、活性化自己リンパ球療法の一つで、免疫細胞の中でも、最も癌に対する攻撃力が
     強い細胞の一つが「Tリンパ球」だそです。 そのうちのアルファ・ベータT細胞という細胞を採血した血液から取り出し、
     約2週間、薬剤を用いて培養し、増殖・活性化した後、薬剤を洗い落とし食塩水と共に点滴で体内に戻す治療法。


情報収集 (癌と戦うー8)

 癌・定期健診で、夫に癌が見つかってから、私はインターネットを使って情報を集めました。

 今まで殆どと言っていいくらい暢気に構えていた私ですが、やはり動揺してしまいました。
 そして取り寄せた資料の中の本に『命を救う情報収集』と言う個所を見つけました。それによると方法に 1.インターネット
 2.書籍・雑誌・新聞等の活字情報 3.口コミ というのがあり、案外口コミの情報も良いと書かれています。 癌である事を
 隠さず、さらっと言ってしまいなさいとあります。

 昨今では多くの人々が癌を体験していて、良い情報もあり、聞いて得する情報もあったり、優しい言葉で、心が癒されて
 落ち込まずに済んだりすると書かれています。内にこもらず明るく癌を受け入れて、最善の治療を試みる事こそ、元気で
 QOLを高めた生活の延長をもたらす事が出来るのだと知りました。

 或る書籍では、買い物と同じで、あれこれ確かめながら自分の買いたいものを選ぶ感覚で治療を受ける、そんな時代であると
 書いてあります。担当医にお任せするがん治療は時代遅れになりつつあるようです。

 しかし、夫はまだ元気な妻がいますが、私自身の頃には、もしかして一人暮らしで、体力も気力もない老人となっているのでは
 ないかと心配です。こうした情報収集と協力は、家族の務めとなるようにも思います。優しい家族のある人々は、幸せな終わりの
 人生を歩み、寂しい者には、覚悟を必要とする。そんな想いでもあります。何か笑い話のように、夫が「僕の時は、あんたが
 こうして動いてくれたけれど、あんたの時はどうする?」と心配してくれたりです。私としては覚悟を決める運命のようですが、
 どう生きるか?夫が提議してくれたものと思って、心の訓練に励みましょう。何時か必ず来る死を意識して生きる事も必然と
 なった今日この頃、秋晴れの日差しがまばゆい午前中です。
                                               (2009年・10月・23日)

 四国がんセンターで治療を受け始め、夫の治療が終わるのを待っていると、患者さん同士での会話が聞こえてきますが、
 患者さん同士で色々情報交換をしていますし、励ましあっておられます。そして、点滴による腕に出来た重症と思われる傷跡などを
 見ていると、私達は軽い軽い病気に思えてきました。

 不満を言ったら罰があたりそうにも感じたりします。辛い戦いを笑顔で看護士さんに語っている人もいて、勉強になります。
 深刻にならず治療と向き合う事の大切さを学びます。健康な時は気付かない生きる姿勢です。こんな場所での人間のたくましさが
 素晴らしいものに思えました。          (2009年・12月。29日)


家族の愛 (癌と戦うー9)

 (癌と戦うー6)で粒子線治療センターでの話を書きましたが、その時感じた事がありました。

 朝、共同炊事場で、宮崎から来たという患者さんの家族に会いました。私は誰にでもつい声を掛けて会話をする性格があり、
 「どんな癌を治療されているのですか?」と聴いた事から始まった会話でした。

 お父様83歳の肺ガンの治療だと言っておられたのです。奥様と娘さんが付き添っておられ「父は高齢で耳が遠く、一人で
 入院させては心配だった。」と言うのです。腎臓やその他もう一っ個所手術をされ肺に転移があり、大学病院では手術を
 すると言われたのでしたが、高齢と体力面で心配がありこの治療を始めたのだと、話しておられました。
 そして『今は命をお金で買えるのですよ。3年の命を買った』とおっしゃいました。83歳のお父様の延命に、こんなに嬉しそうに
 話すお二人。

 日経新聞を読んだ時、約300万円の治療費を要すると書かれていたのを記憶して居ます。
 私と夫は、自分達だったら83歳だともう諦めたであろう と話したものです。夫は67歳で少しでも元気であるなら生きていて
 欲しいと願う年令ですが、80歳を超えていたら「そろそろ天国からお迎えが来ても当たり前の頃だろう。」 なんて二人で
 会話した事でしょう。高額な金額でも3年の命を買いたい家族の思いがとても美しく、そして経済的に恵まれた幸運な方
 なのだなーと感動したものです。

 朝バスを待っている時、私達たちと反対方向のバス停に3人で腰をかけておられたので、お辞儀をしましたところ、手を振って
 おられました。バスが来て乗車してからも、何度も手を振ってくださり、お別れしたものでした。考え方の違いこそあれ、
 私にとっては大変良い出会いです。

 或るとき知り合いに「少しの蓄えは、使い尽くしても治療はしてあげたい」と言った時「それはいけんよ。御主人が亡くなった後、
 貴女が惨めな生活をしていたら、ご主人は泣くよ」と「私が言うことではないかもしれないけど、直らないのでしょう?」と
 忠告されたものです。お金の使い方の違いを感じました。

 もし根治しなくても、死んでいくのがわかっていても、元気でいられるなら延命する事にお金を使う。私はおしくありません。
 お酒の好きな人が酒代を払い、旅行の好きな人が旅行費用を払い、ブランド物の好きな人が高額なブランド品を買う、
 グルメの人が高い料理とワインを楽しむ、それらとなんら変りはないではありませんか?そんな心境です。 
 この宮崎から来たご家族には、同感するものがありました。             (2009年・10月・24日)


言葉の重み (癌と戦うー10)

 癌と言う病気を抱えて痛感したことは、言葉には良薬もあれば、毒薬もあると言うことです。

 そして、言葉を発する人々の人間性が味付けされていて、弱っている人に強烈な味付けをしたまま言葉を発する人もいると
 いうことでした。まして医師の言葉の重みには相当なものがあり患者にとって大きな打撃となることがあります。現代では癌は
 本人に直接告知されるのが常識とはなっていますが、聞く本人には、辛い言葉であろうと想像されます。若く優秀であろうと
 思われる医師は「言いすぎでしょう?」と思うほどに強烈でしたが、老齢の医師は「何からお話ししましょうか?」と言った優しさから
 始まり事実は事実としてどう話してゆくかを考えながら進めておられ、患者の話にも耳を傾けた上で「後悔しない治療にしましょう」
 「後悔しませんか?」と言うような発言で患者の希望を受け入れて下さる医師もおられます。少ない体験ではありますが、
 公共の病院の医師は概ね厳しく、民間のクリニックや民間の病院の医師は、気を使って患者に接していて下さると言う感じでした。

 現代ではお医者さんも、警察官も学校の先生も言葉の問題については大変な時代ではありますね。
 言葉とはこんなにも美しく優しいものなんだと感じる事もあれば、人の口から出る汚さを感じる事もある。キリスト教信者の多い
 外国では、口から出るものは汚く、お尻から出るものは汚くない という感覚があると聞いていますが、「なるほど」と納得する
 気にもなりました。

 言葉によって癒されたり、言葉によって傷ついたり、自分の意思を伝えたり、相手の人柄を理解したり、重要な必要不可欠な
 ものであり、いい使い方をしたいものだと思う武器でもあります。

 聖書には「人はパンだけで生きるものではなく、神の口から出る一つ一つの言葉で生きるものである」と書いてあります。
 真理の言葉に触れて癒されている私達は、恵まれた存在なんだと感謝し、言葉の大切さが身に沁みる今日この頃です。
                                      (2009年・10月・26日)


抗がん治療 (癌と戦うー11)

 昨日から抗がん治療が始まりました。ジェムザ−ルというものです。普通抗がん剤は複数の薬を調合して使う「多剤併用療法」と
 いう使い方が主流のようですが、すい臓がんに対して単一で使用されるそうです。割合新しい薬で、副作用が少ないといいます。
 一週間に1回3週間投与して、一週間休み、免疫の回復を図るが、体力によっては中止や量を減らすと言うことです。

 夫は、入院せず自宅療養で抗がん治療を受ける事にしました。私は、夫に癌が発見されてから「あきらめないガン治療」
 「免疫細胞治療」「進行がんを眠らせる」という3冊の本を読みましたが、どれも抗がん剤に対してよく書いていません。

 ガンを殺す毒薬であっても、正常な細胞をも傷つける全身に到達する毒薬で、ガンで死亡する人の約80数%が抗がん剤の
 副作用で亡くなっているとも書かれています。とても怖い書き方でしたが、それでも抗がん剤を否定する訳にはいかないと
 書かれていて、抗がん剤が上手く効いても生存期間は延びないとも書いてあります。

 免疫細胞治療を行なっているクリニックを訪れた時、クリニックでは「免疫細胞治療だけでは効力が弱い、出来れば抗がん治療との
 併用をお薦めします。抗がん剤でガンを叩いておき、その上で、免疫を高めて、自力の免疫力でもガンと戦う。そういった使い方が
 良い」との説明でした。 そこで、私達は、免疫細胞療法と抗がん治療を併用して、QOLを高めた生存を希望したのです。
 一週休んで免疫力を回復する際に免疫細胞療法を行なって体力回復を図ろうというものです。「横浜まで通ってこられますか?」と
 聞かれましたが、抗がん剤治療と共に自宅近くの病院で受ける事にしました。通うのは、いずれ疲れてくるだろうと思ったからでした。

 夫に付き添って感じた事はなんとがん患者の多い事か!。
 ガンの疑いがあり四国がんセンターを精密検査で訪れた人に3ヶ月待ちだと看護士が説明しています。「出来れば他の病院での
 検査をお薦めします」と言っています。我国は二人に一人はがん患者であると言います。その為 上記した3冊の本でも色々と
 研究を重ねていますがなかなか特効薬にたどり着かないと書いてありますし、治療は試行錯誤であるとも書かれています。
 免疫細胞治療にも保険適用が望まれると研究者は思っていますが、培養方法や装置、管理などにお金がかかりなかなか難しい
 ようです。出来れば、抗がん治療と免疫細胞療法との併用療法で、夫が質の高い生活を伴った延命に成功してもらえればと
 願うばかりです。                 (2009年・10月・29日)


シクラメン (癌と戦うー12)

 秋晴れの光が眩しい今朝は、シクラメンの花をベランダの鉢に植えました。毎年この時期になると植えていたシクラメンですが、
 今年はすっかり忘れていました。

 昨日花屋さんの前で思い出して苗を買ってきました。少しベランダが華やかになり辛かったここ一ヶ月が嘘のようです。夫もまるで
 夢の中での出来事だったかのように元気で不思議なくらいです。こんなに平穏だった過去がありがたい毎日だったんだ と感謝の
 気持ちが湧いてきます。秋の日差しがこんなに心地良いのも忘れていました。日焼けに注意して無理に若く居ようなんて
 考えていた自分が、何時しか変化しているようでもあります。

 夫は症状が出てから判った癌ではなく、検診で判ったものの為か色々な所に不思議な事があります。まず腫瘍マーカーと言うのが
 平均基準値以下です食欲もあり、体重も減っていませんし、倦怠感などもありません。なんだか癌であることが嘘の様で、夫の姉に
 「なにか嘘みたいな感じなんです」と言ってしまいます。風邪や腹痛などならすぐに症状が出ますので判り安いですが、癌とは厄介な
 ものですね。それと同時に進行さえしなければ、すぐに大事にもなりません。

 或るクリニックの医師は「すい臓がんだけでは、死ぬことはありません。」と きっぱりおっしゃいました。
 ようするに進行させないで元気で長く暮らそうとの考えをも持っておられます。今まで、直そうとするあまりに、人体にきつい療養を
 かせて無理をしてきた事に対する反省があるのでしょうか?

 医師によっては「癌に悪さをさせないで共生する」方向性を探っておられる方もおいでのようです。「休眠療法」と言うそうです。
 少ない抗がん剤の投与と免疫細胞療法との併用による、癌を進行させない治療を試みておられるようです。とりあえず私達も
 その方向が望ましいのですが・・・・・。
 シクラメンは赤とピンクを植えました。これから毎朝私達を慰めてくれることでしょう。お花の役割は素敵なものですね。愛しいものの
 一つです。                    (2009年・10月・31日)


幸せな夫 (癌と戦うー13)

 夫にガンが発見されてから、或る人々には一応お知らせする必要があり『癌が見つかったこと』をお話しました。そして私はと言うと
 「ひとりごと」に心境をぶつけて書いてしましましたが、多くの方から夫は心配頂きました。「今まで良いお付き合いが
 出来ていたのだなー」 と嬉しく思います。

 声を掛けて頂くだけで、気持ちが安らぎ、ありがたく又元気が出てきます。 元気でお付き合い出来る日が再び来るように、頑張って
 もらいたいと思います。四国がんセンターの看護士から説明を受けた時「治療を受けるのが嫌になる人がいる。そんな気持ちに
 なったら、言って下さい」と言われましたが、本などを読むと、鬱病になって治療をする気力を失うと書かれています。
 「落ち込まず、出来る事を続け良い人生にしなくては・・。」そう感じています。頑張り過ぎず、長続きするサポートを私も続けられる様
 健康で居なくては!と思っています。時々心が休まるように気分転換を図り、神様のご加護を祈って取り組みたいものだと
 勇気付けられました。夫の病を心配してくださった方々に、心から感謝しています。

 今日は少し秋冷えのする朝です。風も強く曇り空。人間としての感性に何だか磨きがかかってきたかも?自然現象が気になる
 今日この頃です。                        (2009年・11月・2日)


フコイダン (癌と戦うー14)

 この名前を知ったのは、ガンに関する情報を集める為に探したインターネットでの記事でした。

 モズクや昆布ワカメなど褐藻類と言われる海藻の表面を覆っているヌルヌルしたぬめりに含まれている成分が抗がん作用があると
 言うのです。科学的には「硫酸化多糖体」と言うそうです。

 フコイダンは簡単に言うと(1)アポトーシス誘導作用 (2)血管新生抑制作用 (3)ガン転移抑制作用(4)免疫力活性作用があると
 いうのです。アポトーシスとは、正常な細胞は分裂を繰り返した後、古い細胞が死んでゆくそうですが、がん細胞は死ぬ事なく増え
 続けると言うのです。その古い細胞が死んで行く事をアポトーシスというのだそうです。フコイダンはがん細胞に直接働きかけ
 アポトーシスを促し自然死させると言います。その上正常な細胞には影響を与えずがん細胞だけをアポトーシスさせる作用が
 あると言います。また血管新生抑制作用とは、がん細胞は近くの血管から自分専用の血管を引き栄養や酸素を補給して
 成長する様ですが、それを抑制すると言うのです。がんは血管新生が出来なければ、直径1ないし2mmほどにしか成長する事が
 出来ないと言います。 その上転移抑制も免疫力活性もしてくれるとは、話が上手すぎるけれど有難いのもではないかと私は
 希望を持ちました。

 それこそ、効いた人には効き、効かない人には効き目のなかった代物でもあるでしょう。しかし栄養サプリであるので、お医者様に
 相談なく飲んでも心配は要らないであろうとも考えました。


 「イワシの頭も信心から」ではありますが、進行が早いと言われる夫のがん治療がハッキリするまで何かはしていないと心が
 休まらず、とりあえず栄養食品として飲んでもらいました。お医者様によっては、がん治療に取り入れて居られる方も
 いらっしゃいます。科学的に証明されたものしか信じられない人にとっては、鼻先で笑う代物でしょう。しかし私は今でも信じて
 飲んでもらっています。自分が飲んで試してみましたが、なんだか良いように感じるからです。夫はよく下痢をする人でしたけれど、
 これを飲むようになって下痢をしなくなりました。「調子はいいんだよ」といい飲みたくないとは言いません。

 でも主治医には、この事は言いにくく黙っている事にしています。だけど期待はしています。笑い話ではありますが「信じるものは
 救われる」のとおり信じてみようと思いました。天然モズクを原料として抽出・低分子化した液体です。少し糖で味付けしてあり
 海藻の臭いがするのが気になりますが、夫はお酒を飲むよりずっと美味しいといってくれていますので安心しています。
 あなたはこういった物を信じますか?今や我が家では食事療法と共に続けて行きたいものとなっています。
                                (2009年・11月・4日)


元気の素 (癌と戦うー15)

 2度目の抗がん治療に一昨日行ってきました。「副作用もなく、このペースで治療が続けられるでしょう」と言って頂き一安心でした。
 点滴を待っている間に、副作用の症状があるときに良いという料理などを見ながら待っていましたが、予約をしていても約2時間くらい
 待たされます。連休明けでもありとても混んでいて、がん治療も大変だと感じます。健康が一番とはよく言いますが、病気になって
 初めて真剣に感じる事です。今回の事でつくづく健康はありがたい恵なんだと感じました。それに、治療が順調に続けられると
 聞いただけでも、なんだか安心して元気が出てきます。心の問題は健康に良い特効薬なんですね。 

 話は変りますが、昨日はもう一つ良い知らせがあり元気の特効薬を飲みました。以前イスラエル聖地旅行の際に撮影した写真を、
 或る教会のカレンダーに使用したいと申し出があり、写真のネガをお送りしていましたところ、カレンダーの写真に採用して下さった
 とのことで、お知らせがありました。なんと嬉しい事だったでしょう。長年の趣味がこんな形でお役に立てたとは・・・。

 採用されただけで嬉しい事なのに、お礼に「ラ・フランス」を送ってくださるとメールを下さいました。
 楽しみに待っています。辛かったここ一ケ月の労いとご褒美でしょうか?そんな気がしています。
                                              (2009年・11月・6日)


自律神経免疫療法 (癌と戦うー16)

 免疫細胞療法を検討していた時、複合療法と言う治療があり、免疫細胞療法と爪の生え際を刺激する治療を併用しているものに
 興味を持ちました。一冊の『自律神経免疫療法入門』という本を買って読んでみると、いちいち納得いくことがあり驚きでした。

 この先生は初め研究発表しても誰にも相手にされなかったと言う事ですが、今では難病に対して驚異的な効果を挙げているといいます

 つぼを刺激して免疫力を上げるというもので、チョット信じがたいものでもあり、うさん臭いようでもありますが、読んでると
 「チョット待ってよ」と思うふしがあるのです。

 この先生の考え方としては自律神経のバランスがよければ、免疫の内容のバランスもよく、もともと備わっている体が持っている
 免疫力で生き延びる方法を自然に自力で行なっていると考えておられます。そのバランスが長く崩れていると病気が発症すると
 考えておいでです。難病と言われる病気の約80%は交感神経優位な状態が慢性的で、残りの20%は副交感神経優位状態が
 慢性化しているときの病気のようです。

 この交感神経と副交感神経との優位状態が上手くバランスよく働いていると、生き延びる為の免疫状態を保っているらしいのです。
 私はガンについての興味がありましたので、それについて読んでみると、ストレス等で交感神経が緊張すると、顆粒球が増加して
 活性酸素が大量に放出され組織破壊が起こり、それを修復する為に細胞分裂を促し、細胞増殖にかかわる遺伝子に異変が生じて
 無秩序に増殖するガンが発生する。これは自律神経のバランスが崩れた事によるものであると言うのです。

 そしてこの医師も、そろそろガンを難病と捕らえるのではなく、仲良く共存して、出来るだけ消えていただくと考える時が来ていると
 言っておられます。血液検査を行なって白血球のバランスを考慮しながら治療するようですが、このへんは難しく素人には理解が
 難しいところです。

 私の夫はここの所低体温で、数年前には、足が冷たくなってしもやけが出来ました。こんな近代的な暮らしをしていたにもかかわらず
 です。そして人間ドックでの結果でコレステロールがかなり高いと指摘されていましたが、治療もせず過ごしていました。


 この本によると低体温だとリンパ球が多くてもマクロファジー機能が低下しリンパ球が攻撃態勢に入れないとのことですし、
 コレステロールが血中に多いとマクロファジーがこれをせっせと食べる事に専念し、栄養処理に追われ体の防御に専念できなくなると
 言うのです。それに夫は以前から2−3時間おきに目が覚め夜眠れない事があり、本を読んだり、音楽を聴いて過ごす事が多くありました。
 夜11時から朝5時までは癌と戦っているのでよく眠ると良いと聞いています。

 なるほど一つ一つ覚えがあります。私はこれから夫に、体温を上げる工夫をしてもらい、運動や乾布摩擦などを試みてもらいましょう。
 そして食事療法においてコレステロールを下げる工夫を私が致しましょう。爪もみで、副交感神経を優位にして、よく寝てもらいましょう。
 (これは実際効き目があり、爪もみをするようになってから、夫は夜11時頃から朝4時頃までぐっすり眠れるようになっています。)
 薬や病院に頼るだけでなく、自らの生活習慣にも療養を取り入れましょう。そんな今日この頃です。
                                           (2009年・11月・7日)


夫婦の関係 (癌と戦うー17)

 ここの所毎晩、私達夫婦には日課になった事があります。夫の足の裏のつぼ押しと爪もみ、そして夫が私の腹筋を足を押さえて
 手伝う事です。これは思ったより体に良く気に入っています。

 私のお腹も少し健康的になり、夫はと言うと、毎晩ぐっすり眠れるように変化しました。始め爪もみなんて信じ難いものでした。少し
 東洋医学を軽く見ていたかもしれません。でもこれは確かにおろそかには出来ません。効果抜群なのです。今まで「眠れない時は
 寝なくても良い、必要になると人間は眠くなるのだ」と理解して、眠る事を重要視していませんでしたが、夫に癌が見つかってから、
 5−6冊の本を読んだ結果摂理は大事なのだと実感しました。自然の治癒力を大切にする事が、健康維持や病気を治す力を呼び
 起こす事を忘れてはいけない。昼間は緊張して元気に動き、夜はぐっすり眠る。これもとても大切な事でした。

 気持ちの上でも楽な事ばかりではなく、時には嫌な思いもしたり、気持ちの良い感覚を味わったり、緊張と緩和が適度に交互に
 やってくる生活が大切なのだと学んだものです。

 健康でいると、辛さは『辛くて嫌なもの』楽しさは『当たり前のもの』そんな受け止め方でしかありませんでしたが、何事も大切な
 摂理の為、そう思うと生き方も楽になるようにも感じます。この所、夫婦関係にも同じ目的が生じ、リズムが出来たのは、がん発見の
 お蔭と受け止めるべきでしょうか?
                                              (2009年・11月・10日)


単身赴任(癌と戦うー18)

 夫と私は以前から天国の存在を信じていました。二人で外国旅行をした際、飛行場でフライト機の搭乗を待ってる間、私に荷物の
 見張りをさせておき、夫は一人で何時も空港内を探検していたものです。何処の飛行場はどうなっていたと調べるのが趣味でした。

 そのためか以前から私達の会話の中に「先に天国へ行ったら、天国を探検しておいてあげるからね。そしてどんな所か話してあげるよ。」と
 言う話をよくしたものでした。今回こんな状況になった時、私達は同じような会話をした際「天国に単身赴任していると思っているからね。」
 と夫に告げたものです。そして「頃合の時に、迎えに来てよ。長く生きていたら、神様にお願いしてよ。頭がまともな間に天国へ
 行きたいわ。」と返したものです。

 尊厳死協会から送られてくるニュース・レターにも、或る医師が「あの世は存在すると思う事をお薦めします。」と書かれています。
 そうすることで、心の問題が軽くなると言うのです。

 そういえば私は「天国で会える」と信じられるから、別れが少しだけ軽くなっているのかもしれないと思うのです。
 しかし、感情の中では、一人になる事はとてもつまらない人生としか思えません。長く一緒に生きてきた人がいなくなると言う事が、
 理屈で拭い去る事が難しい感情が伴っているように思えます。

 生きる事とは、こんな事なんだと時々思い知らされ、憂鬱になるのは何故でしょう。どこかでは味わうことなんだと、言い聞かせても、
 どっと落ち込んでしまします。時々鬱病になっているのかも?なんて自己診断してしまします。 そんな時、歌を歌うと気持ちが晴れるのを
 ご存知でしょうか?

 讃美歌を大きな声で歌っていると気持ちが落ち着いてきます。貴女にも気持が晴れないときお好きな歌を歌ってみることをお薦めしたい
 と思います。ただし、人のいない所で誤解を受けない様にですが・・。
                                             (2009年・11月・12日)


喪中のお知らせ (癌と戦うー19)

 年末が近くなると、喪中のお知らせが届くようになりましたが、段々と「あの人も、この人の奥さんも」と、驚きの知らせが多くなってきました。
 そろそろこんな年齢に達したのだと確認をさせられる時期が来てしまいました。諦めの心が沸々と湧いて来ますが、しかしもう少し粘って
 生きてもらいたいと夫には希望します。「そのうち諦めるから、今でなくもう少しだけ」と思います。こんなに元気なのに癌というだけで
 こんな気持ちになるのはなぜでしょう。

 もっと気楽に癌を考えられる自分になりたいものだと思います。夫は口だけはしっかりしていて「いつかは死ぬんだ。皆同じ」なんて
 気楽そうに言っていますが、心の内は分かりません。うちの中の掃除や、買い物、パソコンの修理、ごみだしなど、手伝ってくれる夫が
 いなくなると私はとても不便です。どうかこのまま長く元気でいられますように。祈ってしまいます。

 昨日山城新吾さんの番組を見ていると、最後が悲しい人でした。やはり死は死、同じではありますが、人間関係とは難しいものだと、
 考えてしましました。他人では測りきれませんが、もっと他に方法はなかったのか?納得して終わりを迎えるチャンスは作れなかった
 のかと、考えてしましました。

 昔話の「姥捨て山」を思い出していました。老人をこうも悲しく終わらせる神様の意図はなになのでしょう?
                                 (2009年・11月・14日)


食事療法 (癌と戦うー20)

 三回目の抗がん治療が終わり、昨日二回目の免疫細胞を戻しました。やはり三回もの抗がん剤を点滴すると、時々「むかむか」
 吐き気が来るようですが、新聞やその他の記事で読むのとは異なり軽い副作用だと思われます。食欲もあり、体重も減っていない、
 元気なので一安心です。

 先日ある知り合いから、癌の人に良いと言われる食事療法について耳にし「勉強してください」と言われましたが、実はもうとっくに
 勉強していて大体知ってはいます。それでもより多くを知ることも良い結果を招くに違いないと、本をお借りすることにしました。

 私思うに、どんなに良い食事でも食べる人が食べたくないのでは、お話になりません。やはり食べたいと思う食事を、用意してあげる
 ことが一番だと思うのです。そうするとやはり、今まで好んで食していた料理から、癌の人には良くないと言われる食材を減らし、
 工夫する料理が一番だと思うのです。あれはいけない、これもいけないという料理や、これが良い一辺倒では、食べる側も気が
 重いでしょう。食べたいと思え美味しいと感じる食事を提供する妻として努力したいと思ったものです。

 追記=(スープ) 前日の煮物などの食べ残しをスープにすると美味しく残り物が処理されます。
      例えば、じゃがいも、かぼちゃ、かぶ、れんこん、豆などの煮物の残り物をミキサーにかけ味付けする。
      また、野菜の湯通しした付け合わせなどもミキサーにかけ味付け。簡単でなかなかの物。
      お試しあれ。とっくにご存じでしたね。失礼しました。               (2009年・11月・18日)


ガン検診にも不利益 (癌と戦うー21)

 数日前、日経新聞を読んでいると興味深い記事を見つけました。国立がんセンター ガン予防・検診研究センターは、最新鋭の
 コンピューター断層撮影装置などを駆使してガン検診を実施し国内で最も発見率が高い医療機関であるそうです。私の夫はその
 医療機関でガンが発見されて、現在治療中ですが、新しい検診機器の画像解像度が良くなると、発見しやすく、そのために、
 数年から数十年もの間進行しない癌まで発見してしまい、おとなしい癌まで発見したことによる医療被害も出ているといいます。

 日本では問題になっていないけれど、欧米では、大きな被害と受け止められていると書かれています。手術や化学療法・X線治療
 などによる治療で, しなくてもよかった癌まで治療し副作用被害にあう事があるというのです。私たちはどう受け止めるべきか
 深刻な問題でもありますが、夫の家族には、すい臓がんで亡くなった人や、ガンで亡くなった人がいてDNAは受け継がれているとも
 いえる立場です。このような記事を読むと、治療も大きな賭けとなるようにも思えてきます。治療しなかったがために、末期になるまで
 何もせず待った事に、後悔はしないのか?治療しなかったために、副作用に苦しむことが無く、体を痛めつける事もなかったとも
 言えるのかもしれない?難しい決断です。

 最近では治療や手術が嫌で、治療せずに亡くなる人の話も、度々耳にするようになって来ました。
 「どうせ治療しても、何時かは死ぬのだから、辛い思いをして少々、長く生きても同じこと。」と考えるのか。「自分の存在を希望している
 家族のために、少しでも生きながらえよう」と考えるのか。難しい決断だと思いながら読んだものです。文明の発展は、必ずしも幸福な
 生活に結びついてはいません。原始的に生きることこそ、人間らしいと思える時もある。

 そしてまたこれ程に文明の発展を遂げたにもかかわらず、変らない生き方をしている部分もあれば、文化的な生活により弱くなった
 体力や、精神力に気付く事もあります。一体私達は・・・。

 不気味な人生なんだなーと思わざるを得ませんでした。あなたはこの記事を、どう受け止めますか?
                                           (2009年・11月・19日)


鬱病を思う (癌と戦うー22)

 夫にガンが発症してから必死に改善策を勉強した後、治療方針が決定し、治療が開始された頃ホッとしたのか、時々むなしさを
 感じるようになり「なんだか鬱状態だなー」と思う時があります。

 生きている事より死んでしまうことのほうが、楽なように感じたりするのです。知人に鬱病の人がいて「死にたくなるのだ」と聞いて
 いましたが、「こんな感覚なのかなー」と思ったりします。

 ある知人は19歳の時、勤め先からの帰り道、近道としてさみしい道を選んだ時男性に襲われレイプされそうになりましたが、運良く
 ライトをつけた車が通りかかり未遂に終わったそうです。

 その事件がきっかけとなり彼女は鬱病を発症し、精神病院に約16年もの間入院することとなったそうです。精神病院と聞いただけで
 入院したくないのが普通
ですが、彼女は鉄格子の部屋が安心で心地よかったそうです。会社の友人がお見舞いに来て、顔の形相が
 変わって帰って行き、二度とお見舞いに
来なくなるのが続いたというのに、鉄格子の部屋が落ち着いたそうです。

 彼女のお父さんは、台湾で憲兵を仕事として、台湾の女性と結婚していました。彼女がお腹にいた時、ピストルで撃たれ亡くなった
 そうです。母親はお腹に彼女を抱えた状態で大きなショックを受けまし

 それから彼女のお母さんは、お父さんの故郷日本に彼女の兄と共に来て暮しました。彼女が私の行っていた教会に来るようになって
 知り合い、一年で入信してから回復したのです。もう一人の友人は、その教会のクリスチャンでした。

 結婚し第一子を身ごもり出産しましたが、その後すぐに産褥うつ病という病気にかかり、家事育児を全て放棄しごろごろ寝込むように
 なりました。見たところ普通の状態ですが何もしません。

 何かする意欲を失ってしまうのです。治療のため入退院を繰り返し、周りの人々からは「我まま病」と言われ続け理解されることは
 ありませんでした。

 彼女の子供は、両親の祖母にゆだねられて育ち、物心ついたころからお父さんを助け 家事、買い物、お母さんの世話、そのほかを
 おこないながら学業を続け大学へも進みました。彼女はいつも、息子は一人で良い子に育った。こんな母親でも一人で一人前になった。
 感謝であると言い、私は母思いの子供の話を聞く度に泣けてきます。

 こういう知り合いを持っていると、私たちは簡単に鬱病だなんて思い過ぎではないか?なんて思ったりします。最近では
 心療内科なるものが多くなり、心の風邪だと言って気楽にクリニックを訪ねます。昔なら普通の苦しみであったことにより、今では
 心が疲れ、傷つき、軽い病気になってしまう弱さが身に着いたのかもしれない。甘えなのか。病気なのか。慎重に確かめたいと思う今日
 この頃です。少しの苦しみは、心の健康維持のためだと理解したいと思ったものでした。
                                        (2009年・11月・27日)

   追記=友人の鬱病に関して( 催眠療法の不思議)

 或る知人で約15年もの間、精神病院に入院していた人がいますが、彼女から聞いた不思議なお話を書いてみましょう。彼女は19歳の時、
 レイプ未遂に遭遇してしまいました。抵抗したために馬乗りになった男が、髪の毛を掴んで彼女の頭を地面に数回叩きつけ「殺される」と
 思ったそうです。

 そのとき車が通りかかり未遂に終わりましたが、助けてくれた男性は彼女を警察に連れて行ったそうです。そこで彼女は警察官から
 ひどい質問をされ再びショックを受けることになりました。そのことにより心の行きどころを失い精神病院に入院することになって
 しまいました。

 一番重い病気の人が入る鉄格子のあるトイレとベッドしかないコンクリートむき出しの部屋だったと聞きましたが、彼女はそこが
 居心地が良かったそうです。誰にも襲われないだろう、辛い質問をする人もこない場所で安心だったと言います。人に対して恐怖が
 生じ母親すらも自分を蔑んでいるように感じ心を開けなくなったそうです。

 長年病状は回復せず、その部屋から出る気持ちになれなかったようですが、お母さんがキリスト教に関心を持って信じ、人生観が
 変化したと同時に彼女も変化し回復の兆しを見せ始め、時々外泊許可を取って家に帰るようになりました。その頃から教会に来る
 ようになり、別の精神科の医師に催眠療法と言う治療を受けることとなりました。

 催眠術を使って深層心理を引き出すのだそうです。その過程で彼女は、自分でも知らなかった母親のお腹の中にいた時の父親の死を
 語ったのだそうです。母親は一度も子供に話しておらず、兄も小さくて覚えていないショックな事件でした。その時のショックがトラウマ
 なっていてレイプ未遂事件で再び蘇り、古傷がより大きな病を引き起こしたと精神科の医師は判断したようです。

 その医師のカウンセリングと信仰によって、16年もの間苦しんだ病から解放され回復しました。長年精神安定剤を飲み続けたため
 子供を産む事を禁止されていて、子供がありその母親を失った男性と結婚もしました。私達にそんな体験を何気なく語ってしまう勇気も、
 人を信頼する勇気も取り戻していました。

 現在平和に暮らしておいでのようです。最近になってふと思い出したものです。彼女の人生のすごさは想像もできませんが
、深層心理の
 不
思議も想像をはるかに超えたものでした。人の世界は不思議がっぱいなのですね。
                                        (2009年・12月・23日)


フコイダン(2) (癌と戦うー23)

 前に、フコイダンについて書いていますが、記憶に残っておられるでしょうか?

 私は夫が抗がん治療を受ける度、車の運転を引き受け四国がんセンターまで送り迎えをしています。
 その時夫を待っている間がとても長く、携帯用CDプレイヤーを持って行って好きな音楽を聴いたり、本を持って行って読んだりしながら
 夫の治療が終わるのを待っています。四国がんセンターには、自由に使えるパソコンが図書コーナーに2台置かれていますが、時々
 それをお借りしてインターネットで情報を集めていると、フコイダンについて新たな情報を得ることができました。割合多くの医師が
 これを患者さんに勧めていて、中には大変心酔しておられる医師もあり驚きでした。

 私もフコイダンを購入している業者と連携しておられる医師に無料相談を試み、飲み方やタイミングの指導を受けました。ガンの種類や
 治療の種類、症状などを、お知らせして飲み方の指導を受けます。

 インターネットでフコイダン治療をされている医師の無料冊子を注文して読んでみると、この医師によれば、「始め信じていなかったが、
 使ってみて驚きだった」と言っておられます。特に、食欲のない患者は食欲が出てくる。三大療法の副作用の軽減、免疫力アップ、
 QOLの上昇において100%の効果があり、ガンのアポトーシスでは、かなりの有効率があり、ガンが縮小したり消滅していると
 小冊子に書かれています。

 そして10年、20年後にはもっと研究もされ代替治療の主流を占めているのではないかと書いてあります。その上「私は嘘は言っていない。
 もし嘘をいったなら、私は信用を失い医院が閉業に追い込まれるだろう。今や患者数は増えている。」と書いておておられました。

 私にとっては大変うれしいニュースでした。私はいち早くこれを始めました。どういう治療を始めるか思案していた時から、
 栄養飲料なのだから医師の指示なしでもいいだろうと、夫に飲ませました。

 しかしこれは、かなり高額な栄養食品です。もっと安く販売できるようになるといいと思います。

 夫も、抗がん治療の副作用がとても軽いです。噂に聞くのとは大違いで助かっています。この医師はフコイダンを使用しない患者も
 受け入れておられ、比較しておられるようですが、やはりQOLに於いて差があるようです。時々届く患者さんの体験記を読むと、
 抗がん剤の効果が大きくなるようだ。抗ガン剤の効き目が良くなる助けをしているのではないか?と書かれています。しかしまだ
 フコイダンの低分子か?高分子か?で意見が分かれていて迷うところです。私は低分子の物を支持し使用していますが、
 高分子でなくては効き目が薄れると理解している医師も製造業者もあり難しい選択になります。

 エヴィデンスを重要視される医師には支持されないかもしれませんが、ともあれ、もしフコイダンをご存じない方には、試されることを
 お薦めします。まだ私も2カ月の試用期間ですので、経過が分かっておらず、効果についてお話しできませんが。興味がある方は
イ ンターネット情報をお読みになると面白いと思います。

 天然もずくから抽出した飲み物で、硫酸化多糖体と言うそうです。硫酸基と糖が結合していて、ガン検診のぺット検査のメカニズムと
 同じで、ガンが糖を好むことから硫酸の基がくっ付いた糖を食べ硫酸の基に侵されて自然消滅すると考えられているようです。
 我夫にも、どうか効果がありますように・・。祈るばかりです。

 注釈(QOL=Quality Of Life  生活の質=元気で暮らせること)
                                      (2009年・11月・28日)



鼻歌の効用 (癌と戦うー24)

 夫にがんが見つかって暫くは、精神的に余裕がなく辛い気持で落ち込でいましたが、人間とはすごい生き物ですね、段々慢性化して
 気楽になります。

 何時だったかテレビで、ものすごい災害などにあって心に傷を負っても最悪の生活を強いられても、人間はそれに慣れる、恐怖を
 忘れると言っていた人がいます。そうでないと生き抜けない、と。子供に至ってはかなり早くに慣れてしまうと話していました。

 不思議なことに私も、最近慣れを生じたのか気持ちが落ち着き鼻歌を歌うようになりました。讃美歌は礼拝で気持ちを込めて歌うのが
 通常ですが、最近私、洗濯物を干しながら鼻歌で讃美歌を口ずさんでいます。「神様に失礼かしら?」などと思う矢先からまた
 口ずさんでいます。

 人間って図太い生き物なんだなーと感心しますが、夫が予想に反して元気でいてくれることにも安心感が生じるのかもしれません。
 お天気のいい日に洗濯物を干しつつの鼻歌は心軽やかにします。

 現在の気持ちを表してもいます。また以前の生活が戻ってきて平安でいられることにありがたさを感じています。時もまた大事な
 回復薬の一つであると改めて気がつきました。辛い思いで過ごしておられる方がおられましたなら、鼻歌が出るようになりますように
 願って止みません。

 それに私、以前からお花に語りかける癖がありました。「綺麗に咲いてね!。」「も少し頑張って元気になってよ!」「とても綺麗よ。」
 「今日はいい天気だから、よく育ってね。」知らない人がきくと、気持ち悪いかも?しれないですね。独り言ですから・・。

 でもお花って、話しかけると本当に綺麗に咲くのをご存知ですか?
 鼻歌や花に話しかけると、自分の気持ちも気楽になり、一石三鳥ですヨ。お薦めです。

 でも気持ち悪いという方もおいででしょうね。そんな事しなくてもご自分の精神力の強さがある方は・・・。
 失礼しちゃったでしょうね? 笑って読み流してください。            (2009年・11月・30日)



ある婦人の話 (癌と戦うー25)

 近くの公民館活動での料理教室で「夫に癌が見つかり二ヶ月ばかり落ち込んでいたけれどいつまでも落ち込んでいるのも悔しので、
 元気を出して頑張りますよ」と話したところ、その婦人は「教えといてあげる。夫を亡くして暫くは、一緒に死のうか?なんて考えるけれど、
 5年も経てば、一人の気楽さが快感に変化するから・・・。乗り越えないといけないよ」とおっしゃいました。

 彼女は、夫と死別されて12年だそうです。「今は気楽で、時間や食事の支度を気にせずにいられるいいものよ」といいます。
 「そうですか、5年ですか?乗り越えなきゃいけませんね。何時かは、やってくる事なんだと、理屈では理解しているんですがね。」と
 答えて帰りました。

 夫にその話をしたところ、僕の知人は「兄が死んだ時、兄嫁はものすごく悲しんで可哀そうだったけど、一年後には生き生きと楽しそうに
 一人暮らしを楽しむようになった。」と言っていたよ。「一年だよ」と 言います。

 「なんだかなー」笑ってしまう様な、悲しいような 感覚です。私が先に死んでも、悲しんでくれるのはたった一年なんだ。  しかし多分
 そうは問屋が卸さないでしょうね。一年で気持ちを転換できればこんな楽な話はないでしょうが、無理なようでもあります。

 こんな話ができるのも、何時までだろう。

 そして彼女はいい言葉をもう一つ言いました。「病気と寿命は違うからね。」と そうそう寿命が終われば病気で死ななくても、
 何らかの形で死んでゆくのだ、そう思ったら気が楽になったものです。
 寿命には逆らえませんものね。                          (2009年・12月・5日)


夫の性格 (癌と戦うー26)

 ガンが見つかってから治療の方法が決まるまで、二人でセカンドオピニオンで治療施設を訪ねたり、情報を集め相談したりでしたが、
 治療方針を決めてから夫は、自分が昇天した後の事が気になり、色々な事の整理を始め、私に必要と思われる事を教え始めました。

 いらない書類の廃棄処分の手伝い、ややっこしくしている支払方法の変更、遺言書のこと、医療保険の請求の件、担当医には、
 尊厳死協会の登録者であり、末期医療はこうありたいという「事前指示書」を提出するなど驚くべき早さでした。「早すぎる」と私が
 言うのに対して、「今なら頭がしっかりしている。体力が落ちたり、痛みを感じたりするようになると、気力が無くなる。」と言います。

 なんだか、死を認めるようで悲しいものしでしたが、夫の性格なのでしょう。しかし、生活態度に於いては、今まで通りで、毎朝いつもの
 時間に起きてのごみ出しや散歩、朝食作り、掃除、町内会の仕事、パソコンの教授などを続けました。
 表面覚悟を決めた生き方のようにも思えます。東京での友人たちとの飲み会にも出てゆき、相変わらずの生活です。最近私、
 いままでの事は笑い話になりそうな気がし始めています。

 「そうありたい」と願う気持ちがそのように感じさせるのでしょうか。ずっと以前に、胃潰瘍の手術を前にして、身辺整理をし遺言書を
 書いたと言った知り合いがいましたが、いまだ健在で、今笑い話となっています。癌も一人ひとり症状や経過に違いがあり、
 抗がん剤の使い方などにも一人ひとり違いがあるため、治療は担当医の腕にかかっていると書かれている本や活字情報もあります。

 それに、インターネット情報などでは、ガンに打ち勝っている人の情報もあり、昨今癌も以前の良性の治療並みになって来ている時代
 かもしれないと、良い方向に考えられるようになっています。夫の性格が、無駄になる事を願って止みません。
                            (2009年・12月・7日)



経過検査結果 (癌と戦うー27)

 今日癌治療の経過検診があり、ペット検診を行いましたところ、癌がすっかり消えていました。

 先生がおっしゃるには「あまりにもきれいに消えているので、癌ではなかったのではないか」と言う。すい臓がんと間違われやすい、
 「自己免疫性すい臓炎」 だったのではないかと言うのです。

 一ケ月間抗がん剤をストップして様子を見ると同時に自己免疫性すい臓炎を調べる血液検査を行う事になりました。どちらの病気で
 あったとしても、ぺット検査で病原が消えているので安心です。

 自己免疫性膵炎だったとしても症状が無く、軽いものと思われます。一応難病で膠原病の一種であると言いますが、予後も
 悪くないようですし、良性の疾患だとインターネットには書かれています。

 しかし、ほっとしました。こんな事もあるのかと二人して意気揚々家路に着きました。
 ひとまず、今までの気持ちとは違った状況に嬉しさが溢れてきて感謝でいっぱいでした。

 けれども、この経験から喜びをあからさまに現す事に、後ろめたさを感じる事も知りました。知り合いのご主人は本物のがんです。
 「癌が消えていた」とか「違う病気だった」とか言いにくい状況になりました。

 これからは「嘘も方便」に徹する事も必然となったようにも思います。励ましあって来た知人にどう接して行くべきか考えてしまします。

 とりあえず結果は良いものでした。御心配下さった方々に心から感謝いたします。手術を選択しなくて本当に良かったと運の良さを
 改めて感謝したものです。外国ではすい臓癌だと思って手術した患者さんの内、その後の組織検査の結果2%の方がこの病気を
 誤診して膵臓と十二指腸の摘出手術を行っているという報告があるそうです。(インターネット情報による)
                               (2010年・1月・6日)


身体の不思議1 (癌と戦うー28)

 今回ガン検診から始まった体験で、人間の体について不思議な体験を多くしました。健康な時、少しの疑問も感じず暮している人体の
 メカニズムですが、病気をしてみると、こんなに複雑に神様が人体を創られた理由を不思議に思います。

 不思議@私は自分が持っていると言う生き抜く力(自然回復力)を活性化するため、爪もみと土踏まずのつぼ押しを毎晩夫に行って
 いましたが、初めの頃右足の土踏まずに、表現が難しいぶよぶよとでも言う感覚があり、普通に押しても夫は「痛い、痛い」と言い
 「他人の体だから加減が解らないのだ」と言って怒りました。

 「痛いくらいが良いのだと書いてある」などと言って軽く押して続けていましたが、段々と日を重ねるごとにそのぶよぶよが無くなり、
 こりの様なもの二つを指先に感じるようになり、そして何時しかそれも無くなった頃、夫は土踏まずのつぼ押しを好んで要求する
 ようになりました。

 それと爪の生え際をつまむ「爪もみ」とで、毎晩ぐっすり眠れる毎日がやってきて、気分良く朝が来て気分良く日中が過ごせるようになり
 元気でした。爪もみに於いても、初めの頃、痛いと嫌がっていた指がありましたが、同じように段々と痛みを感じなくなりました。

 癌センターの経過検診の結果が良かった帰り道夫は、「あんたの毎晩の爪もみと足裏のつぼ押しが血行とリンパの流れを良くして、
 良くなったのだ」と言って止みませんでした。本人が感じた体験でしょう

 医学的な治療なしでは考えにくい結果ではありますが、本人の感想ですし、やっている私も、ぶよぶよが無くなり、懲りもなくなった頃から、
 かなり強く押したにもかかわらず、痛いというより気持ち良くなっている夫の感覚に「不思議だなー」を連発していたのです。

 薬や化学的治療だけに頼る闘病ではなかった事も、決して無駄ではなかったと確信しています。そして、回復しただろう現在でも
 続けています。 

 不思議Aフコイダンと言う飲物ー次回執筆。不思議B精神的平安(信仰的なもの)−次回執筆。これらの体験を書いてみたいと思います。

 何か体に不調を感じておられる方は、気に入ったものがあれば実行される事をお勧めします。
                                               (2010年・1月・8日)


コイダンという飲物 (癌と戦うー29)

 夫にガンが発見されてから、何か良い方法をと探して、少しでも元気で長く生きてほしいと願いフコイダンと言う飲物を知りました。

 最初薬局に行き捜したところ、健康サプリメントとしてカプセル状の薬を見つけ買って来て夫婦で飲んでみましたが、私はなんという事も
 なく飲めるのに対して、夫はいつも喉に詰らせ「げえ、げえ」言っているので液体の物を扱っているところの商品を注文してみました。

 900mlの瓶を一本買って二人で少しずつ飲んでみましたが、あまり美味しいものではなく、海草の匂いが後に残って、私は嫌な感じでは
 ありました。と同時に飲物と一緒に送られてきた説明書にフコイダンがどんなもので癌の人がどういう風に飲み、どういう効果があり、
 どれ程にQOLを高めていたり、癌が小さくなっていたり中には消えていて、抗がん治療を行っている医師が驚いていたという様な
 体験記事を多く目にしたのです

 いわゆる薬ではなくサプリメントなので、薬ほど深刻に扱う必要はないと思い,夫に飲ませる事にしました。
 天然もずくから抽出低分子化したもので、硫酸化多糖体と言うものです。癌が糖を好む事から硫酸基とくっついた多糖体を食べ
 硫酸の基に癌が侵され少しづつ溶けて自然消滅すると言います。

 そして正常細胞においては粘膜を強くし抗がん剤の副作用から守ることで、副作用で食欲が無くなった人がこれを飲むと食欲が出て
 QOLが高まるとか、髪の毛が抜けなくなり、むしろ生えてきたというのです。

 2007年にある食品会社が「抗がん剤の副作用軽減サプリメント」として特許を取っているようです。

 代替治療として色々なサプリメントが使われていますが、私はこのサプリメントを信じる事にしました。
 私が信じ、夫も飲んでみた結果下痢をしなくなった為に、夫は好んで飲むようになりました。

 もし、夫が癌であったのに3ケ月で消えたのなら、きっとこれが抗がん剤の効き目を良くしたのだと思えてなりません。(少し不信も?)
 再発予防に、飲む量を減らし飲み続ける事を薦めているので、今後も飲み続けたいと思っています。抗がん剤と相性が良く、
 副作用軽減と抗がん剤の効き目を良くしてアポトーシスを促すと言います。
 抗がん剤治療を行う前からこれを使用していたためか、副作用に苦しむ事は少なく、楽な治療であったと思われます。自然界に
 あるのもの中には人知で計り知れないメカニズムが存在していると思えてなりません(不思議A) 興味のある方はお試しあれ。
                                     (2010年・1月10日)

 追記=海草類の表面を覆っているぬめりの部分が抗がん作用があると言われ、フコイダンはこれを
     天然もずくから抽出し低分子化して吸収され易くした飲物です。副作用はなく、耐性も生じないと
     書かれています。



直感と言う不思議3 (癌と戦うー30)

 今回大きな試練を味わって不思議な体験をしましたが、心と現実に於いても不思議がありました。

 夫が癌と宣告され、それも膵臓と言う臓器であったため、希望が無く辛い日々でしたが、後悔しない努力だけはしておこうと多くの
 資料を読み漁っていた或る朝、窓際でふと 夫の癌が消えたイメージが過りました。

 子供の頃感じた不思議な直感と同じでした。そしてその直感は私の命を助けていたのです。
 その後四国がんセンターの医師から治療に関する説明を受けましたが、大変な予後についての説明があり、それまで夫は手術を
 考えていたのを撤回し、断念すると言いだしました。私も反対しませんでした。

 セカンドオピニオンで数名の医師から話を聞きましたが、全ての医師が手術を薦めました。しかし夫は気持を変えることはありません
 でした。私はと言うと少し医師の勧めに迷いが生じましたが、やはり手術は断念の方向に気持ちが向かったのです。

 そして良いと思われる事は方法を選んでやってみました。そのうえで最終的にそれ以上の事は自然界の大きな力(神様)に
 委ねてしまいました。

 「努力はいたしました。全てはあなたのお考え通りに・・・」という思いで毎日を過ごすようになり、その結果少し気持ちも和らいで、
 時に鼻歌を歌ったりしながら治療を続け、少し痩せていた体重も元にもどり元気を取り戻し、生活を続けていたのです。

 その結果は考えられないものでした。経過検診のペット検診で病原が見えなくなっていたのです。癌が無くなったのか?誤診で
 あったのか?まだ分かっておりませんが、奇跡に遭遇した様な体験です。

 クリスチャンの私は度々聖書の中でイエスが病を治された事実を読んでいますが、自分の身の上に起こるとは思ってもみないこと
 でした。「今なら手術は可能です。」と言われてはいましたが、手術を断念しました。なんという選択だろうと鳥肌が立つ思いでした。

 これを人知でどう説明するのでしょうか。単なる偶然と言ってしまうのか、気持ちを神に委ねた結果と受け取るのかは、本人の自由
 ですが、私は神業と受け止めています。

 これに感謝して信仰深く生きようと切に思ったものです。人知の力だけを過信せず神に委ね、努力は惜しまない生き方を、
 死に至るまで続けたいと思ったものです。

 それに、12月初めに「この苦しみは後になって笑い話になるような気がする」と感じて、癌と戦うー27に書いています。きっと神様が
 「人間の力でどうにかしようと思い煩うのは良くない。私に任せなさい」と語りかけられ、私はそれを察知して苦しむことを止めたのだと
 理解しました。

 今まで、自分は運の良い人間だと信じてきたのは、大きな力に守られてきたのだと受け止める事も出来ました。こうして与えられた
 残りの人生は、大切に夫と共に生きるべきだと痛感しています。
                                               (2010年・1月・12日)

 誤診との間に 続く。