癌と戦う2
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「 ひとりごと」に書いた「癌と戦う-31」からの記事を抜粋しています。
興味のある方はお読みください。 |
どんな言葉も (癌と戦うー31)
先日、日経新聞の日曜版を読んでいると、「医師の目」と題して医師の目から見た癌で亡くなった患者さんの遺族の事が載せられていました。
死別して2ヶ月が経った頃、ストレスから鬱病になった婦人の話でした。「夫が亡くなることは解っていました。でも、実際に亡くしてみると辛さは
想像を絶するものでした。」と語っていたとのことです。そして 周囲からの慰めや励ましのつもりの言葉に、さらに辛い思いをしたとのことでした。
解る様な気がします。どんな言葉も慰めや励ましにはならず、より傷つけるだろう事が・・・。辛い時は、心に余裕が持てませんでした。どうしても
ひがみっぽく受け取ってしまいます。「いい加減な事言わないでよ」「嫌味な慰め言わないでよ」「解りもしないで、解った風な事言わないでよ」と
内心思ったことがありましたが、とりあえず「ありがとうございます」と答えるのが精いっぱいでした。私もきっとこの体験後、遺族の人に対する
声かけが、変化しているだろうと思います。かける言葉が無くなっていて、「辛いよね」としか言えないと思うのです。多分、聞き役に徹している
だろうと思うのです。
「何時までも泣いていたら、成仏できないわよ」と励まされた様ですが、「泣きたいだけ泣こうね」と私は言ってしまう様な気がするのです。時には、
「もっと大変な人もいる」という風な事柄を例にとり、比較して「貴方はまだ幸せ」と言わんばかりの発言があるけれど、決して心の解決には
つながらない様に思う事があります。 ある婦人が、私に「教えといてあげる、主人を亡くした時は、一緒に死のうかと思ったけど、慣れてしまうと、 一人でいることが快感になるから。時間や食事の支度の事を考える事もなく、気楽なものよ。乗り越えないといけないよ」と言いました。
希望につながる経験を語るのも良し、「そうなのよね」と全て肯定してあげるのが、辛い時には一番の薬の様に思います。自分の心は自分で
解決し乗り越えるしかないのですから・・。
医師の立場では、抗鬱剤の投与とカウンセリング、そしてじっくりと話を聞いてあげることだと、書かれていました。 (2010年・3月1日)
パープルリボンキャラバン2010 in 松山 (癌と戦うー32)
聞き覚えの無い名前と思いますが、松山市のコムズで膵臓癌啓発セミナーがありました。
私達は夫が、定期ガン検診で「膵臓がん」と診断され、辛い思いと抗がん治療をした経験があり、参加しました。四国がんセンターの3人の
膵臓がんの専門医とパンキャンジャパンの理事ほかによる膵臓癌診断や治療の最新情報ほか、早期発見・早期治療の大切さなどの理解を
深めることが目的とされています。治癒率の低い膵臓癌は、告知を受けた時から、死の恐れを担う事となり希望の無い疾患です。
少しでも希望を見だそうと懸命でした。今後研究が進められ、希望につながる疾患となるよう期待したいと思いますし、私達もなお一層の
早期発見や早期治療に努めたいものと思いながら、時間を過ごしたものでした。 ある医師が「一人ではない」と、昨今二人に一人と言われる
癌患者が闘病している現実を思って励まされ、司会者もこの言葉を励みの言葉としましょうといっていました。 (2010年・3月6日)
追記=このセミナーで質疑応答があり、免疫細胞療法やワクチン療法についての質問がありました。高額な上にエヴィデンスが
無いと言う事で、大抵の人は否定的でしたが、免疫細胞療法を利用した。
私の考えは、次の通りです。(発表はしていません) 私達は、癌を治そうと思ってこの治療を受けた訳ではありませんでした。
少しでも長くQOLを保った延命が目的でした。代替医療の「フコイダン」を利用したのも、抗がん剤による副作用の軽減が
第一の目的で、あわよくば抗がん剤の効き目を助けて良い結果に導いて欲しい位の感覚でした。そして免疫細胞療法は、
治療を受けたクリニックが独自に研究をも続けていると、書籍に書かれていて、治療費が高いのもお金儲けだけではなく、
研究用にも使われているようであることから、高額でも支払える場合は自身も希望を持ちながら、研究費も賄えて研究も
進むことを願って治療が受けられるという判断での事でもありました。当然治療費が問題になる患者さんをも対象にしている
医師にとって良い話はしずらいでしょうし、こうした治療を進める医師の方々も、決して標準治療を否定してはいないし軽視も
していません。標準治療に重きを置き、補助的治療の立場を保っておいでです。これらの研究結果や先進医療が保険治療へと
つながる事を願っています。
パープルリボン=ピンクを団体カラーにしている乳癌の患者や患者家族の支援団体に対して
膵臓癌患者とその家族を支援する団体のシンボルカラーに紫が選ばれたそうです。
集束超音波治療 (癌と戦うー33)
日経新聞によると、癌細胞だけに集まる薬品と超音波を使って癌治療をする研究が進んでいると言います。副作用がほとんど無く、患者の
負担が少ない様です。イスラエルなどの海外のメーカーの機器に後れを取っていた日本のようですが、日立製作所やアロカが医大や大学の
医学部との共同研究により5年後をめどに、肝臓がんや膵臓癌患者向けに臨床試験を始めたいと書かれていました。日々技術の進歩があり、
癌患者にも希望のある闘病が待っているようにも思えます。膵臓癌と診断された事がある私の夫にも、希望のある未来が近くなりつつあるようで
嬉しいニュスでした。癌細胞にだけ集まる薬剤を注射し、薬がたまった患部に超音波を当てると薬剤と反応して温度を高め癌細胞が死ぬ
仕組みだといいます。現在日本でも乳癌や子宮筋腫に使われている海外の機器より進んだ次世代型治療法だと書かれていました。また 薬を
使わず超音波だけで治療する研究も進んでいると言います。海外の技術に比べて、精度が良く安全性の高いのが日本の技術の特徴だと
自信を持っている様です。色々な方向から研究が進められ進歩発展していく癌治療に光があたり始めたのでしょうか?期待して待ちたいと
思ったものです。
(2010年・3月・13日)
血液検査で癌診断 (癌と戦うー34)
週刊東洋経済という雑誌を読むと、先端医療特集をした1/23日号に血液検査だけで、消化器癌検診ができると言う記事が載っています。
金沢大学医学部の金子医師が開発し、2009年8月に特許出願した先進診断方法だそうです。消化器がんのある人にだけ特別に変化している
遺伝子群を世界で始めて突き止めたと言います。この検査方法の最大の利点は検査がきわめて簡単であると言う事。少量の血液の中から
RNA(リボ核酸)を抽出しDNAチップと反応させ得られたDNAの発現パターンを分析すれば、胃がん、大腸がん、膵臓がんの存在が分かり
正解率は91%。胃がんや大腸がんの部位まで特定出来た正解率は73%、膵臓がんは71%だったと言います。この確率は腫瘍マーカーを
遥かに凌ぐと書かれていますし、腫瘍マーカーで判らない極早期のがんも判ると言われ、10mm程度の早期胃がんまで判定できたと言う。
PETの様な大型の設備は必要ではなく、特別な薬剤を使わないので、検査を受ける人にも優しい検査方法だと言います。
血液の遺伝子解析によるガン検診の研究は世界中で進められているそうですが、多くは難航している様です。金沢大学医学部研究グループは
一番乗りを果たしたと書かれています。
金沢大学とベンチャー企業キュービクスにより事業化が進んでいて、人間ドックや健康診断の一次検査導入を目指している様ですが、現在は
費用が多くかかるようです。、厚生労働省が定める先進医療の承認と低コスト化を目指して開発が進んでいると言います。将来、健康診断での
血液検査で、ガン検診ができる日が来るかもしれません。
(2010年・3月・31日)
老後と複雑性悲嘆 (癌と戦うー35)
NHKの番組に「サイエンスZERO」というのがあり、好んでよく見ています。再放送の「死とむきあう」と「家族の老いと別れ」を見て自分の体験と
重ねて考えてしまいましたが、避けて通れない道であり、必ず体験する事柄でもあります。しかし他人事だと簡単に結論を口に出来るけれど、
自分の事となると難しい問題であることを、夫が癌と診断された時体験をしました。かなりの葛藤が生じ苦しみます。
簡単に解決できない自分の心との戦いが生じます。生きていて欲しいと願うあまり、本人を苦しめてしまっているかもしれない延命。何処で
諦め何処で区切りをつけてあげるか、難しい選択になります。人間らしい生き方ができなくなったら、医学の力を借りない方向を選択する勇気が
生まれるだろうか?本人にとっての最良の選択が出来るだろうか?気になる処ではあります。
また、死を敗北としてではなく、寿命を全うしたと言う勝利として受け入れることが出来るよう生前の心の訓練や考え方の整理が必要な気も
いたします。人により結論は難しいと思わざるを得ません。
胃に穴をあけて食事を流し込む方法は、食事が腸を通ることで免疫力が生じ快復や延命の効果が点滴より大きいと言います。しかし生きる
意味を持たない延命は良い事ではないという結論が出せるでしょうか。死を選択して、自分を責めること無く本人の幸せだと受け止めることが
できるでしょうか?
そのために別れの後、自分を責めたり、寂しさのあまり心に戦いが生じ鬱状態に入ってしまう人が多いようですが、最近は研究の結果、鬱では
なく「複雑性悲嘆」という病名が付けられているようです。
その病は、抗鬱剤は効かずカウンセリングで現実を認め、それを乗り越える形で治療して行くのだと言います。知ることで予防ができるもので
あるかどうか疑問ですが、いずれ来る老いや病気、死や別れに対して用意が出来る心を養いたいものだと思ったものです。
(2010年・4月・3日)
心の電話 (癌と戦うー36)
尊厳死協会から送られてくる冊子「リビング・ウィル」を読んでいると興味深い出版物が紹介されています。一つは「水平線の向こうから」という
絵本です。お母さんを癌で亡くした少女・藍ちゃんの物語です。長い入院から戻ったお母さんが、少女に向かて「そろそろ船に乗る時が来たよ。」
と夢の中のおじいちゃんが話しかけたと少女に話します。「船が水平線のかなたに見えなくなっても、消えた訳ではなく見えないだけなのよ」 と。
「死んで行くのも同じことで見えなくなるだけなのよ。だからお母さんが死んでも見えなくなるだけで、お話が出来る。
「心の電話』でね。」 と・・。お母さんが亡くなったあと、なかなか『心の電話』が通じなくて、悲しい毎日でしたが、次の年の夏、家族で行った
思い出の場所を訪ねた時、不思議な気持ちがしてお母さんが「藍ちゃん!」と手を振ったのでした。目を閉じると「心の電話」で話が出来て目に
見えるのでした。藍ちゃんはそこで、お母さんの言ったことが始めて理解出来た。という絵本です。もう一つは「笑って死ねる病院」というものです。
金沢市にある病院「社団法人石川勤労者医療協会・城北病院」のお話。終末期患者と病院との人情物語だと言います。
内容は、終末期患者に「思い残したことはないですか?」と尋ねると言うのです。「カラオケに行きたい」とか「勤め先だった会社をもう一度
見たい」とか人其々のようですが、この「最後のお願い」を「おでかけ」と称して、医師や看護婦が付き添って叶えてあげるのだそうです。「願いが
叶う」と笑顔になれるという理由から、「これも医療」と受け止めているそうです。そしてこれは診療報酬外の行為として行われていると言うのです。
なんと爽やかな行為でしょう。松山にも、「こんな病院あると良いなー」心残りなく天国へ旅立ちたい。 (2010年・4月・13
がん免疫細胞 (癌と戦うー37)
日経新聞を読んでいると、ips細胞を利用した、がん免疫細胞を増加させる研究が進んでいると書かれています。山中教授が開発した事で
有名なips細胞を使って大量に、免疫を司るナチュラルキラーT細胞を培養し増殖させ、癌の進行を抑える新しい免疫治療だと言います。
ナチュラルキラーT細胞はがんを攻撃したり免疫力を保ったりする細胞だと言い、夫もがんの診断を受けた際、T細胞を増殖・強化した
α・βT細胞免疫療法で治療を行った経験があります。
このips細胞を使った免疫細胞療法は、まだ マウスによる研究の段階の様ですが、人に利用できる日が来ると、がん治癒のチャンスはもっと
広がるるような期待があります。良好な研究結果の訪れを待ちたいものだと、思ったものです。
(2010年・6月・4日)
自己免疫性膵炎・新診断法 (癌と戦うー38)
愛媛新聞によると、愛媛大学大学院熊木研究員が新しく 自己免疫性膵炎の診断法を発表すると言います。一般的な膵炎とは違って特定が
難しく、膵臓がんと診断されがちな疾病です。私の夫も、一度膵臓がんとの診断が下り、抗がん治療に加え自己免疫活性化免疫細胞療法を
行った経験があります。3ヶ月の治療の後消滅しましたが、ステージ3から4aと言われた癌が3ヶ月で消滅したことで、癌ではなく「自己免疫性
膵炎」であったのではないかと言われています。自己免疫性膵炎の治療・ステロイド薬による治療はしておらず、今のところ治癒していて治療の
必要はありませんが、がんと診断された時、大方の医師から手術を勧められました。ただ四国がんセンターの医師のみが積極的ではなく、
術後の悪さを態度や説明で表現していました。もし夫の疾病が癌ではなく自己免疫性膵炎であった場合、手術をしていたら大きな医療被害に
つながっていたでしょう。それを思う時、この診断法が現実的かつ、正確な診断方法であるならば、診断ミスによる医療被害は少なくなり、
喜ばしい方向です。血液中のリンパ球活性化因子が診断の指標となるというのもです。詳しい診断方法が確立されるのを待ちたいと思います。 (2011年・5月・4日)
治療再開(癌と戦うー39)
夫のすい臓の治療が始まりました。やはり前回のガン検診の診断では異変が起きていたと言えます。今回は一応ステロイド剤の治療で抗がん治療 ではなく、治る病気(良性の病)と言われている膵炎のようです。しかしステロイド剤治療も決して安心な治療ではなく、副作用も多いと聞いて
いますから、注意して治療を続けたいと考えています。「年齢と共に病を背負って歩む人生なんだ」と自覚する事となりました。「ガンよりはまし」と
思って治療しようと思います。
再び足の裏つぼ押しと爪もみを始めました。夫も私に「借りを段々作っている」と感じている様ですが、良さそうな事は全てやってみるつもりです。
効くと信じてやる事に意義がある。病と共存しても元気で過ごしたいと思う今日この頃です。 (2011年・6月・4日)
治療状況(癌と戦うー40)
自己免疫性膵炎を治療し始めて約3ケ月。定期健診で快くなっている事が解りました。ステロイド剤のお薬は半分の量に減りました。ここの所
気付いたのですが、夫がやたら元気になり、歩く速さと言ったら尋常ではなく、ついて歩くのが大変になりました。
何処かに問題を抱えている時と、健康状態が良好な時との差がこんなにあるのかと驚きです。健康でいたいものですね。先日テレビを見ていると
「ガンの治療方法」も急速に進んでおり、ガン近くの血管を人為的に閉塞させガンに栄養が届かない方法でガン治療をしていると放映して
いました。以前夫がガンと診断された時読んだ資料にガンは自分用の血管を作って栄養を取り、どんどん大きくなっていくと言い、それを断つと
増殖出来なくなる と書いてありましたが、そのメカニズムを利用したものと思われます。
ガンが栄養不足になって、増殖しないか死滅して行くものもあると言っています。カテーテルによる手術で、ガン近くの血管を封鎖してガンを
成長させない事を目的とするようです。医学の進歩も多岐により進歩しているようです。
(2011年・8月・1日)
新しい抗がん剤(癌と戦うー41)
新聞によると、膵臓がんの治療に新しい抗がん剤が承認されたという。分子標的薬タルセバというもの。5年ぶりに新しい選択肢が加わったと
書かれている。従来のジェムザールに加えてタルセバを使用することで27%の延命が見られたと言う。
ただ患者によってメリットが有や無しやがあり、副作用も比較的多いと書かれている。専門医による充分な注意による使用が必要との事。 (2011年・8月・5日)
夫の回復(癌と戦うー42)
腫れていた膵臓を治療していた夫は、再びきれいに腫れが戻り、ステロイド剤の服用を止めました。この頃は、お医者様も患者の希望を
尊重する様で、「少量のお薬を飲み続けたいか、再発まで服用を止めるか」患者に聞くそうです。
夫は「服用を止めます」と答えて帰って来ました。「また再発した際は、大量に飲む事から始めることもあり得る。」と言われたそうですが、一旦
服用を止めることを選択しました。一応私達は、薬は極力飲まないのが信条ですから、この選択を良しとしていますし、健康保険料を無闇に
使わない選択でもあります。健康は安心につながり、喜んでいます。
(2011年・12月・10日)
検針間隔の延長(癌と戦うー43)
3ケ月に一度の検診を行って来た定期検診が、6ケ月に一度の検診となりました。エコーやCTのみ、造影剤を入れたCTなどの定期検診が
6ケ月に一度で良いということです。良い結果が安定してきたというこになります。安堵しています。健康のありがたさを実感しながら、今後は
楽しんで生きたいと願っています。
(2012年10月19日)
朗報(癌と戦うー44)
日経新聞を呼んでいると、小野薬品が「がん治療」の新薬を開発したと報じています。「第4の治療法」との見出しです。
「オプジーボ」と言う薬で、免疫細胞の仕組みを利用した特効薬のようです。現在は、悪性黒色腫と肺がんの治療のみ
厚生労働省が承認していると言います。
「すべてのガンに効きそうだ」と期待されているようです。
この小野薬品、わたしの甥が研究所に勤務しています。親しみもあり、喜んでいます。夫も膵臓がんと診断されたとき、
抗ガン治療と併用して、自分の血液20mlの中の免疫細胞を遠心分離して取出し、薬で2週間培養・強化したのち、
食塩水で薄めて点滴で戻す「活性化自己リンパ球療法」という治療を行いました。
免疫細胞に着目した治療でした。いよいよ厚生労働省が承認する免疫細胞療法が活用される時代になったようです。
がんも以前ほど怖くない病気になりつつあり嬉しい知らせです。 (2016年1月11日)
「夫が糖尿病に・・・・」へ続く。
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